(2022/05/25初稿) ナラ枯れ対策用被覆剤による試験施工開始のご案内を掲載しました。
(2022/07/19訂正) 5月に実際に取り行った試験施工の内容に沿って、実施要綱の試験施工方法を訂正しました。
(2022/11/13追記) 10月に入り、その後の試験経過観察を実施しましたのでご報告いたします。
ナラ枯れ対策用被覆剤による試験施工実施要綱
ナラ枯れとは?
ナラ枯れとは、ナラ類やシイ・カシ類などの樹幹にカシノナガキクイムシ(以後 カシナガ)が潜入し、ナラ菌を樹体に感染させ、菌が増殖することで、水の吸い上げる機能を阻害して枯死させる伝染病です。ナラ枯れのメカニズムと特徴
- 木の根元にフラス(木屑)が落ちている。
- 幹に直径約1~2mmの穴がたくさん空いている。
- 梅雨明け後~晩夏に急に枯れる。
- 葉が赤褐色や茶色に変色し、落葉しない。
試験施工に使用する資材
樹幹のコーティング剤となり、コーティングにより、カシナガの樹幹内への侵入を物理的に防ぐことを目的としています。使用方法
2倍希釈し、噴霧器で樹幹へ散布※刷毛による塗布へと変更(5月試験施工完了)
成分・特徴
成分:マルカサイド、シランカップリング等
防水性あり
通気性(透湿性)あり
紫外線による劣化耐久性は5年以上
昆虫忌避成分添加
試験施工 予定地
試験施工の方法
- ナラ枯れ用試験資材は、対象木の地際から高さ2mの樹幹全面に
散布し、幹表面のコーティングをします。 - コーティング方法は当初噴霧器によるスプレーにて実施予定でしたが、刷毛による塗布へと変更しました。(5月試験施工完了)
対象木はコナラとし、試験予定地内でランダムに5~10本程度選び、試験予定地内で資材を散布した木と散布していない木(対照木)がランダムにある状態とします。- 対象木はコナラとし、試験予定地内でランダムに5本をコーティング実施、残り5本を散布していない木(対照木)としました。(5月試験施工完了)
- 試験液剤2000gに水を加え、合計4リットルとなるように希釈しました。(5月試験施工完了)
- 検証は、2022年9月~11月に実施予定とします。 ただし、試験予定地にてナラ枯れ被害が確認できなかった場合は、翌年2023年9~10月に再度検証を行います。
5月試験施工の様子
その後の経過観察の実施(2022年10月)
2022年10月4日経過観察を実施しました。- 10本の試験木およびその周辺を確認しましたが、近接するナラ枯れ被害地域からカシノナガキクイムシの飛来は確認できませんでした。来年度も経過観察を実施し経過を見ていく予定です。
- 今回の経過観察により、樹幹コーティング剤を塗布しても、外観では全く判断できないほど自然な状態であることが確認できました。(下写真参照)
5月に樹幹コーティング剤を塗布後、現在、外観からは全く判断できないほど自然な状態となっている
今後の予定
- 経過観察を来年度も実施し、経過を見ていく予定です。
- 大学と話をして、新しい試験区の設定も検討しています。